横芝光町商工会



鬼来迎
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鬼来迎

 

■物語り

 舞台下手の櫓(やぐら)の影から突然響きわたる鐃鉢(にょうはち)の音と「ホッホッホー」の奇声。うだるような暑さの中ざわめく見物客がはっと顔をあげると、いよいよ地獄の幕があく。

  横芝光町に古くから伝わる「鬼来迎」は因果応報・勧善懲悪を説く全国で唯一の古典的地獄劇。その起源は約八百年前、鎌倉時代初期にまで遡るといわれ、昭和五十一年には国の重要無形民族文化財に指定されている。

  鬼来迎は、演者はもちろん舞台の設定から衣装整備まで、すべてが地元民の手による。平成三年には東京国立劇場でも上演され、「これは素人の芸ではない」と多くの人を感嘆させたという。 劇は、地獄の責苦を骨子とした「大序-賽の河原-釜入れ-死出の山」の四段と、広済寺建立縁起を物語る「和尚道行-墓参-和尚物語」の三段、全七段からなり、上演時間は約一時間半である。


■地獄譚

◆大序
 場は地獄の閻魔の裁き所。閻魔大王、倶生神、鬼婆、黒鬼・赤鬼が次々と登場し、亡者の生前の罪を判じる。「娑婆国中の大悪人」と判が下ると、鬼たちが亡者を連れ去る。

◆賽の河原
 子供の亡者達が石を積んで遊んでいるところへ黒鬼・赤鬼が出てきて捕らえようとする。そこへ地蔵菩薩が現れ鬼を打ち払って亡者達を救い出す。

◆釜入れ
 場面は一転し、地獄の釜茹での場。逃げ惑う亡者を鬼婆が釜に投げ入れ、鬼たちとともに火を煽ぎ薪をくべる。「首でも切って食らおうか」と鬼たちが亡者を吊るし上げて退場。

◆死出の山
 亡者は鬼たちに火が飛び出す腕を持たされ、死出の山へ追い上げられた末、大石で押しつぶされ、下へ突き落とされる。口から血を流して苦しむ亡者。そこへ観音菩薩が現れて、亡者を救い、鬼と問答をかわして悠々と退場する。鬼は悔しがって亡者の卒塔婆を抜き取り、「さては成仏いたせしか」とそれを投げ捨て怒号を発する。


■広済寺縁起譚

◆和尚道行
 虫生の里のとある辻堂。夜道に迷った石屋和尚が「妙西信女」というまだ新しい墓に気付く。そこで和尚は鬼が娘の亡者を鉄棒で責める様を見るが、夜明けとともに鬼も娘もかき消える。

◆墓参
 娘の父母である椎名安芸守と顔世が家来を従えて墓参りに訪れる。「折り入って御話し申したし」という和尚を夫妻は屋敷へ伴う。

◆和尚物語
 和尚は娘の苦しむ様を語り、安芸守夫妻はその世を辻堂で過ごす。地獄での娘の姿を見て嘆き悲しんだ夫妻は、娘の成仏と、娘を地獄に落とした自らの罪の消滅を祈り、和尚の教えに従って広西寺(広済寺)の建立を約束する。


■赤子と鬼の奇妙なセレモニー

 最初の「大序」の場面で、登場する鬼婆に赤ちゃんを抱いてもらうと健康に育つ、という言い伝えがある。毎年「地獄の釜が開く日」の月遅れの八月十六日、鬼来迎の演じられる広済寺境内は、我が子の健やかな成長を願う両親、そして全国から集まる見物客で華やかににぎわう。

 

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